Logo image
Logo image

【イスの歴史】実用的な用途からデザインアイコンになるまで

0 分
現在、イスは常に新しいデザインのものが作られている家具の一つです。デザイナーたちは異なるスタイルや現在のダイナミクスを反映するイスを作り、人間の物語を語ってくれるようなイスがたくさん生まれています。
【イスの歴史】実用的な用途からデザインアイコンになるまで
最後の更新: 18 8月, 2020

歴史的に、イスは単なる実用的な要素からゆっくりとデザインアイコンにまでなりました。私たちにとってイスは常に身の回りにある日常品でしょう。

イスは人間が発明したものの中で最も優れたものの一つだと言うことができるかもしれません。歴史の中のある時点で、私たちには自分の体を休めるための家具が必要だということに気づいたのです。

今日、イスはその本来の目的以上の存在になっています。仕事をしたり、食べたり休憩したりするためのものであり、その時代の独特のアイデンティティを表すものでもあります。

そして毎日使うシンプルな存在から、コレクション品にまでなっていきました。イスは家のどこにでもあり、インテリアデザインの中でカギとなる要素にもなっています。

イスの起源

Some figure

イスの起源に関しては意見がほぼ一致しています。バビロンの代官エビフ・イルが木でできた脚と板を組み合わせたのが、イスの歴史の始まりだと言われているのです。

一方、イスの歴史は紀元前14世紀まで遡ると考える人もいます。ツタンカーメンがイスを持っていたという話もあるそうです。

このイスはファラオの力の象徴だったのです。エジプト人のイスはコクタン材、象牙、金でできており、富と権力を表していました。

これらのイスは、当時の高い身分の人たちのみに限られたものでした。そして複雑なレリーフや絵で飾られていました。イスはエジプトの絵画によく登場しますが、王家や裕福な家庭に限ったものでした。一般市民にはそのような特権はなかったので、つつましいイスを使うか単に床に座ったりしていました。

明確な答えはありませんが、イスの起源がこの頃であると言うことはできるでしょう。今やデザインアイコンにまでなっているイスという家具は、歴史を通して人と共に進化してきたのです。

イスは世界の大切な瞬間の目撃者であり、これらかもその重要性を保ち続けるでしょう。

中世から今日まで

Some figure

中世においては物が少なかったので、家には普通イスは一脚しかなく、父親が座るものでした。イスはとても特別なものだったので、ゲストのためにも使われていました。その他の家族はスツールやベンチ、箱、折り畳みイス、あるいは床に直接座っていました。

古代の資料のおかげで、5世紀のスペインでは、脚がまっすぐでシンプルな背もたれのついたイスが使われていたことがわかります。イスの背もたれは、座席とつながっている2つの棒と対角線に伸びたバーでできていました。

ルネサンス期になると、人々はイスに布張りをするようになります中でも最も人気な色はピンク色でした。こういった布張りのイスは、現在でも見ることができます。

16世紀のスペインでは、イスはカーブした支柱や皮を使ったエレガントな形になっていきます。当時の王様だったフェリペ2世はイスが大好きで、エル・エスコリアル修道院に行けば彼のコレクションの一部を見ることができます。

17世紀から始まったバロック期には、イスには様々なモデル、スタイル、仕上げのものが出てきます。その質は注文した人の財政力によって異なりました。

17世紀の終わりから18世紀の近代になっても、イスは王と王座の権力の象徴であり続けました。王の力と細工に直接的な結びつきがありました。その権力が強ければ強いほど、より複雑なデザインのイスを作ることができたのです。

しかし18世紀の終わりには、イスの目的が変わってきました。豪華絢爛さを見せびらかすことから、今の使用法につながる日用品としての役割にシフトしていったのです。建築と家具の間の新しい関係性も、年を追うごとに強くなっていきました。

20世紀-実用的なイス、デザインアイコンとしてのイス

Some figure

「トーネット」社のイスが19世紀に登場し人気を博しました。このイスはミヒャエル・トーネットによってデザインされ、その曲木のシリーズが最初のものです。これは20世紀のインダストリアルスタイルのイスの先駆けでした。

20世紀になると、このイスは産業化と新たな素材の使用によってさらなる変化を遂げました。建築界とインダストリアルスタイルデザイン界のビッグネームたちが活躍したのもこの時期です。

その例がアドルフ・ロース、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、チャールズ・イームズとレイ・イームズ夫妻、マルセル・ブロイヤー、フィリップ・スタルク、そしてル・コルビュジエです。こういった人々は最高仕様のイスをデザインし、その多くがデザインアイコンになっています。

ブロイヤーのワシリーチェア、ル・コルビュジエのLC4シェーズロング、ファン・デル・ローエのバルセロナチェアなどがその例です。

 

ここまで簡単に見てきましたが、イスはかつて実用的な家具だったものが、今ではデザインアイコンにまでなっています。クラシックなイスやモダンなイスで家を飾ってみてください。自分を出しながら、品格があり調和の取れた空間を演出できますよ。