シンプルさと柔軟性を併せ持つチューリップチェア
チューリップチェアはコンテンポラリー家具の好例です。そのデザインはシンプルさと柔軟性が合わさって、インテリアデザインにさまざまな可能性を見せてくれます。
チューリップチェアのような家具は、家具デザインの長い間に渡る進化のおかげで実現しています。イノベーションとオリジナリティがそのデザインの中にまぎれもなく存在しています。実は、この椅子自体は芸術的なコンセプトの反映なのです。
この椅子はどんなインテリアスタイルにも適しているわけではないという点を強調しておきたいと思います。ですが、これが機能する空間においては、洗練されて前衛的な雰囲気をプラスしてくれます。
エーロ・サーリネンという人物
チューリップチェアのデザイナーであるエーロ・サーリネンは、1910年、フィンランドのキルッコヌンミで生まれました。ですが、青年時代のほとんどをアメリカで過ごし、そこで20世紀のほとんどの重要なインテリアデザイナー、そして前衛トレンドに出会うことになりました。
のちにヨーロッパにも滞在し、パリのグランド・ショミエール芸術学校で彫刻を学んでいます。その後、アメリカに戻ってエール大学にて建築の研究を行いました。そしてインテリアデザインやインテリアに関する新しいアイディアへの強い関心を高めていったのです。
1956年にチューリップチェアを作り、ノール社とともに店頭で販売するためのモデルをさらに製造し始めました。当時最大のマーケットであったアメリカでもヨーロッパでも、成功に向けて邁進しました。
サーリネンは彼のチューリップチェアで、国際的な名誉を獲得したのです。
チューリップチェアの5つの特徴
すでに触れたように、この椅子にはコンテンポラリーな雰囲気があります。チューリップチェアは伝統的でクラシックなラインを打ち破り、ラスティックスタイルやカントリー風の空間とは相容れないものとなりました。こういったものよりも、若くモダンなスペースの方が合うのです。では、この椅子のいくつかの特徴を見ていきましょう。
- この椅子の柔軟性はどこから見ても明らかです。椅子の基礎から背面までほとんどすべての部分がカーブしたラインでできています。使われている素材もとてもなめらかで、曲げることのできそうな見た目を作っています。
- シンプルさもまた明らかな特徴の一つでもあります。突き出ている部分や張り出している部分が全くありません。この椅子にはたった一つの素材が椅子を構成しているかのような連続性が感じられます。さらに、機能性にも長けているのです。
- クッションが素材と椅子自体の見た目の間のコントラストを作っています。構造的に、チューリップチェアの構造は椅子の一般的な構造とはとても異なってます。また、クッションの赤色が、注目を引くような強くはじける色を作っています。
- チューリップチェアには二種類あります。アームレストのあるものとないものです。アームレストの付いているモデルはより閉じたデザインであるのに対し、アームレストの無いものはよりオープンでシンプルな形となっています。
- 最後に、この椅子はとてもモダンなスタイルを持っています。デザイン全体を通してスリムでデリケートな形になっているのです。
シンプルな色使い
色については、マッチさせるのはあまり難しくありません。色は赤と白の2色しかないので、合わせるのがとても簡単なのです。他の色もありますが、赤と白のモデルがオリジナルのデザインです。
強烈な赤が、椅子の白い部分とコントラストを作り、その強烈さをさらに強調するようなコントラストとなっています。白が赤のベースカラーや背景となっているのです。
複雑でない形が、シンプルなカラースキームとよく合っています。
チューリップチェアはどこで買える?
この椅子をインテリアショップで見つけるのは簡単ではありません。ですが、インターネットのオンラインストアを試してみてください。お値段はかなりすると思いますが、コレクションする価値のある家具だということをお忘れなく。
アマゾンや楽天などのウェブサイトでも購入できます。模造品に引っかかってしまうことのないよう注意してくださいね。
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- Pesudo Chiva, María Carmen: Formas curvas alabeadas, Cultivalibros, 2009.
- Serraino, Pierluigi: Eero Saarinen: 1910-1961; un expresionista estructural, Taschen, 2005.